職業紹介を行う会社が求職者に対して行う労働条件の明示、および、求人者が職業紹介事業者に行う労働条件の明示は、いずれも、書面による明示、または、電子メール等において明示を行わなければなりません。この場合の書面とは、直接、対面で紙の書類を渡す方法以外に郵送による送付でも問題ありません。ただし、FAXによる交付の場合は認められないので注意が必要です。

また、電子メールによる交付も認められてはいますが、これは相手が電子メールでの交付を希望した場合に限りますので、この点についても注意が必要です。

なお、明示すべき労働条件の内容は以下のとおりです。
①労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
②労働契約の期間に関する事項
③試用期間に関する事項(試用期間があるかないか、試用期間があるときはその期間)
④就業の場所に関する事項
⑤始業時間及び終業時間、休憩時間、休日に関する事項、残業の有無
⑥賃金の額に関する事項
⑦健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険の適用に関する事項
⑧労働者を雇用しようとする者の氏名または名称に関する事項
⑨労働者を派遣労働者として雇用する旨(派遣労働者として雇用する場合のみ)

労働条件を明示するにあたっての注意事項

職業紹介会社が求職者に対し働く業務内容、賃金、労働時間その他の労働条件を可能な限り速やかに明示するとともに次の点を注意しなければなりません。
①明示する労働条件等は、虚偽の内容を明示しないこと、また、誇大な労働条件にしないこと
②労働時間に関して、始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日等について明示すること。また、裁量労働制が適用される場合はその旨も明示すること
③賃金に関しては、月給・日給・時間給の区分、各種手当、通勤費の有無、昇給に関する事項について明示すること
④定額残業(固定残業)手当を支給する場合は、その固定残業に何時間分の残業時間が含まれているのか計算方法を含めて明示し、固定残業手当を除いた基本給の額、固定残業を超える残業や休日労働、深夜労働を行った場合に割増賃金を追加で支払う旨も明示する必要があります。
⑤期間の定めのある労働契約を結ぶ場合は、その期間が試用期間としての性質を有するものであっても、試用期間終了後に従事するべき業務の内容ではなく、その試用期間にかかる業務の内容を明示する必要があります。

また、職業紹介事業者が業務内容を明示するにあたり、以下の点についても注意する必要があります。
〇原則として、職業紹介事業者が求職者と最初に接触する時点までに業務の内容等を明示する必要があります。
最初に接触する時点とは、面接、メール、電話などにより、職業紹介事業者と求職者の間で意思の疎通があった時点を言います(ただし、面接の日程調整に関する連絡のみの場合は除きます)

〇業務内容については、求職者が具体的に理解できるように業務の内容等の水準、範囲等を可能な限り具体的かつ詳細に明示すること

〇最初に明示した業務内容等が労働契約締結時の業務内容と異なる可能性がある場合は、その旨も明示すること。すでに明示した業務内容が異なった場合には、速やかに求職者に知らせること。