ここでは、職業紹介事業を行う事務所の要件について解説します。

広さに規制は無いが・・・

以前は、労働者派遣事業と同様に広さ20㎡以上の規制がありましたが、現在は撤廃されているため、極端なことを言えば、他の要件を満たしていれば、どれだけ狭くてもOKということになります。

しかし、通常は、求人者、求職者と必ず面談を行うはずです。事務所内に面談スペースを作る場合は、プライバシーを確保するために面談スペースを個室にするかパーティション等で区分する必要があるため、規制がなくなったと言えども、それなりの広さが必要になるかと思います。
面談スペースは、必ずしも事務所内に設置する必要はないため、例えば同じビルの貸会議室のようなところが確保できるのであれば(他の求人者や求職者と同室にならず対面の職業紹介を行うことができるような措置を講じること)、事務所自体は狭くても構いません。ただし、この場合は、その措置が適正でなくなった場合は、許可取り消しの対象となる旨の条件が付されます。

インターネット専業は可能か?

ごくまれに、「インターネットのみですべての作業を行うので面談スペースは必要ありませんか?」とのお問い合わせを頂きます。たしかに、許可基準には、「専らインターネットを利用すること等により対面を行はない職業紹介」を行う場合は、面談スペースも必要ないとしているので、この場合でも条件付きで許可は下ります(ただし、一度でも対面を伴う職業紹介を行った場合は許可取消の対象になります)。
しかし、愛知労働局に確認したところ、過去、このインターネット専業による許可を認めたことは一度も無いとのことでした(もちろん私共でも申請経験はありません)。
職業紹介事業を適正に行うにあたって、本当に求人者又は求職者と一度も会わないことが可能なのかというのは確かに疑問です。
ただ、今後はいろいろな技術の開発により、これらの事案が増えてきても不思議ではありません。もしお考えの方は一度ご相談ください。

結局は・・・

最初でご説明したように、確かに法令上事務所の広さに関する規制は撤廃されましたが、大前提として「位置、構造、設備、面積からみて職業紹介事業を行うのに適切であること」とあります。あまりに狭い部屋で、本当に職業紹介事業が適切に行えるかどうかは、各労働局の判断になります。これは、以前からそうですが、労働局によって捉え方には差があるようです。愛知労働局で過去一度もインターネット専業で許可が下りていないということは、極めて狭い部屋では現状、許可は下りにくいと考えたほうが良さそうです(今後はわかりませんが)。