有料職業紹介事業の許可申請では、職業紹介責任者を選任する必要があります。
代表取締役が職業紹介責任者を兼ねる場合は比較的準備しやすいものの、従業員を新たに採用して責任者とする場合には、「いつまでに採用すればよいのか」「許可が下りる前から雇用する必要があるのか」という問題が生じます。
特に、新しく会社を設立して職業紹介事業を始める場合、許可取得前の人件費はできるだけ抑えたいところです。
ここでは、職業紹介責任者の選任・採用時期について、実務上の注意点を解説します。
1.職業紹介責任者は申請時に決まっている必要がある
有料職業紹介事業の新規許可申請では、職業紹介責任者となる人を特定し、その人が必要な要件を満たしているか確認する必要があります。
職業紹介責任者の主な要件としては、次のようなものがあります。
- 成年に達した後、3年以上の職業経験があること
- 申請受理日前5年以内に職業紹介責任者講習を修了していること
- 法令上の欠格事由等に該当しないこと
- 事業所で職業紹介責任者として必要な業務を行える体制にあること
つまり、許可が下りてから初めて責任者を探すのでは遅く、申請準備の段階で候補者を決め、その適格性を確認しておく必要があります。
職業紹介責任者の詳しい要件については、「職業紹介責任者について」で解説しています。
2.代表取締役が職業紹介責任者を兼ねる場合
有料職業紹介事業では、代表取締役などの法人役員が職業紹介責任者を兼ねることも認められています。
そのため、新たに従業員を採用しなくても、代表者自身が必要な要件を満たしていれば、職業紹介責任者となることが可能です。
ただし、代表者であれば誰でもよいわけではありません。職業経験や講習修了などの要件に加え、実際に職業紹介責任者として業務を遂行できることが必要です。
3.従業員を職業紹介責任者として採用する場合
問題になりやすいのが、新たに従業員を採用して職業紹介責任者にするケースです。
例えば、職業紹介事業のみを行う会社を設立した場合、許可が下りるまでは職業紹介事業を開始できません。
許可申請から許可取得までは通常、数か月の審査期間が必要です。申請書類の不備や審査状況によって、予定していた時期より遅れることもあります。
そのため、会社設立と同時に職業紹介責任者を雇用すると、実際に職業紹介事業を開始するまでの間も給与などの人件費が発生します。
他の事業をすでに行っている会社であれば、許可取得前からその従業員に別の業務を担当してもらうこともできます。しかし、職業紹介事業を新たに始める会社では、人件費の負担が経営上の問題になることがあります。
4.許可日に合わせて職業紹介責任者を採用することは可能か
実務上、許可取得の時期に合わせて職業紹介責任者を採用したいという相談があります。
申請時点で責任者候補者がまだ入社していない場合については、採用予定日、雇用の確実性、責任者の配置体制、必要な証明書類などを踏まえた確認が必要です。
一定の事情の下で、入社予定者を責任者候補者として申請を進める取扱いが認められる場合もありますが、すべての申請で認められるわけではありません。
また、予定していた人が入社できなくなった場合には、責任者の選任体制に影響するため、許可審査や許可条件への対応が必要になる可能性があります。
採用予定者を職業紹介責任者とする場合は、申請前に個別の取扱いを確認したうえで、採用時期を決定することが重要です。
5.職業紹介責任者の講習はいつまでに受ければよいか
新規許可申請では、原則として申請が受理される日の前5年以内に職業紹介責任者講習を修了している必要があります。
したがって、責任者候補者が決まっていても講習を受けていない場合は、受講日程を考慮して申請スケジュールを組む必要があります。
講習は実施機関ごとに日程や定員が異なり、希望する時期に必ず受講できるとは限りません。
会社設立や事務所の準備と並行して、早めに講習の受講を進めておくことをおすすめします。
6.責任者の採用時期を決める際の注意点
| 選任する人 | 確認しておきたい事項 |
|---|---|
| 代表取締役・役員 | 講習、職業経験、勤務実態、他の業務との兼務 |
| 現在雇用している従業員 | 講習、職業経験、配置予定、担当業務 |
| 新たに採用する予定の従業員 | 入社予定日、雇用の確実性、申請時の取扱い、許可取得までの人件費 |
特に新規採用の場合は、単に人件費だけを優先して採用時期を決めるのではなく、許可申請の受付時期や責任者の配置要件を踏まえる必要があります。
採用予定者の状況によっては、申請時期や事業開始予定時期を見直した方がよい場合もあります。
7.よくあるご質問
Q.申請時点で職業紹介責任者がまだ入社していなくても大丈夫ですか?
申請時の在籍状況や採用予定の内容によって取扱いが異なるため、一律には判断できません。候補者の要件、入社予定日、雇用の確実性などを確認する必要があります。
Q.代表取締役が職業紹介責任者を兼ねても問題ありませんか?
兼任自体は可能です。ただし、職業経験、講習修了、勤務実態などの要件を満たしている必要があります。
Q.許可が下りるまでの間、責任者に別の業務を担当させてもよいですか?
職業紹介事業以外の業務を担当すること自体が直ちに禁止されるわけではありません。ただし、許可取得後に職業紹介責任者として必要な業務を遂行できる配置体制が必要です。
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職業紹介責任者の選任は、有料職業紹介事業の許可申請における重要な要件の一つです。
特に、許可取得に合わせて従業員を採用したい場合には、申請時期や雇用条件との調整が必要になります。
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※2026年10月時点の制度・運用に基づく一般的な解説です。個別の申請における取扱いや許可の可否を保証するものではありません。