職業紹介責任者については、「有料職業紹介事業の許可取得のための要件」のページでも簡単にご説明しておりますが、ここでは、より詳細に解説したいと思います。
職業紹介責任者になれる人
職業紹介責任者になるためには、
①職業紹介責任者講習を受講していること
②成年に達した後3年以上の職業経験があること
③欠格事由に該当していないこと
の3つが必要であることは「 有料職業紹介事業の許可取得のための要件 」のページで解説しました。この3点をより詳しく解説したいと思います。
①職業紹介責任者講習を受講していること
職業紹介責任者講習は、全国で開催されており、実施機関も一つではなく、現在は、以下の9つの実施機関があります(令和元年8月現在)。
・公益社団法人全国民営職業紹介事業協会
・一般社団法人日本人材紹介事業協会
・株式会社オファーズ
・株式会社ウェルネット
・公益社団法人日本看護家政紹介事業協会
・一般社団法人人材サービス支援センター
・一般社団法人国際キャリア支援機構
・株式会社フィールドプランニング
・株式会社アプエンテ
上記のどこの実施機関で受講しても構いません。一番都合のいい日時と場所で選択すればOKです。
ただ、受講料は一律ではなく、新規の受講で8800円から13400円とばらつきがあります。
また、その団体の会員だと割引があったり、早めに申し込むと割引がある実施機関もありますので、安く抑えたい方はそういいた実施機関を選ばれても良いかもしれません。
また、許可申請時、又は更新申請時において5年以内に受講している必要がありますので、いつ受講したかは確認しておいてください。もし、5年以上前に受講している場合は、再受講が必要です。
② 成年に達した後3年以上の職業経験があること
成年に達した後に3年以上の職業経験がある必要がありますので、この時点で、未成年者は、職業紹介責任者にはなれないことになります。
一つの会社で3年以上勤務している必要はなく、転職等をして複数の会社で勤めた経験が合計で3年以上になれば結構です。これを証明するために、過去に勤めいていた会社に証明書等を出してもらう必要はなく、自分で作成した履歴書を基に判断されます(もちろん嘘を書けば罪に問われます)。
③ 欠格事由に該当していないこと
欠格事由の内容は、主に犯罪行為等で禁固以上又は罰金刑等を受けてから5年を経過していない場合が該当します(すべての犯罪行為が該当するわけではありません。過去に道交法違反以外で罰金刑等を受けた場合は一度ご相談ください)。
ただ、職業紹介責任者になるためには、欠格事由に該当していないことに加え、
・無登録で貸金業を行っている場合、無許可で質屋営業を行っている場合は職業紹介責任者になれません。
・風営法第2条第1項に規定する風俗営業、同条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、同条第11項に規定する接客業務受託営業を実質的に営業する者も職業紹介責任者になれません(さらにこれらの営業を行なう者が役員に入っているだけで許可は取得できません)。
簡単に言うと、性風俗は全面的にダメ、キャバクラ、パチンコ店、麻雀店などもダメとなるので注意してください。このあたりはまた別のページで解説します。
職業紹介責任者は事業所ごとに専属の方が必要
職業紹介責任者は、事業所ごとにその事業所に専属の方を自分の会社の労働者又は役員の中から選任しなければなりません。
「専属」ですので、他社と兼務しているような方は、選任できません。
複数の事業所(営業所)を持って紹介業を行う場合は、それぞれの事業所で違う職業紹介責任者を用意しなければなりません。
かなりの大手しかあり得ませんが、職業紹介の業務に従事する方が50人を超え100人以下の場合は2人以上の職業紹介責任者が必要になり、それ以降は50人ごとに1名を増やす必要があります。
厚生労働省が発行している「職業紹介従事者のための講習テキスト&実務ハンドブック2020」に分かりやすくまとまっているので、以下に抜粋しておきます。
出向者は職業紹介責任者になれるのかとのお問い合わせを頂きましたので、ここで解説したいと思います。
出向者はその出向契約の内容にもよりますが、ごく一般的な在籍出向のケースで考えます。
この場合は、各労働局によって若干、取り扱いが異なるかもしれませんが、愛知労働局に確認したところ、
「原則からは外れるが、不可能ではない」との回答でした(上記ハンドブックの内容にもあるように、本来は自社の役員または「自己の雇用する労働者」から選任すべきです)。
認めてもらうためには、出向契約の内容を明らかにし、出向先(つまり許可を取得する会社)に、長期かつ常勤で勤務することをを証明する必要があるとのことでした。
具体的には、長期かつ常勤することを申立書あるは誓約書等で示すことになるようです(ケースによっては出向契約書も付ける)。
ただ、この辺りは、愛知労働局でもまれなケースになりますので、その都度、どのように対応すべきか、確認しながら進めることになります。
あくまで、原則からは外れることになるので、確実に許可取得したいのであれば、出来る限り、職業紹介責任者は自社の社員で準備すべきだと思います。