以前は、求人する場合、ハローワークを利用するか、チラシや雑誌に求人広告を掲載するのが一般的でしたが、インターネットの普及により、これらに加えて、ネット上で求人情報を公開するサイトが増えてきました。
多数の求人情報を公開しているサイトには、有料職業紹介事業の許可は必要でしょうか?
結論を言うと、ごく一般的な求人誌や求人情報サイトの場合は、許可を取得する必要はありません。ただ、昨今は、いろいろな機能を持ったサイトも現れていて、判断が難しい場面もあります。
まずは、この点について厚生労働省の通達を見てみます。
以下は、平成14年3月28日 職民発第0328015号通達の内容を一部抜粋したものです。
自ら求人・求職を受理せず、求人・求職の申込みを勧誘する業務、許可事業所への求人・求職を全数送付する業務等のみを行う事業所(付帯業務のみを行う事業所)については、職業紹介事業の許可又は届出(以下「許可等」という。)は不要であるとされている
職業紹介事業の許可又は届出が不要な「付帯業務」について
ここで、「求人・求職の申込みを勧誘する業務」としては、求人情報又は求職者情報を提供するのみで、職業紹介を行わない(求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間の雇用関係の成立のあっせんを行わない)いわゆる「情報提供」事業を行う事業者(以下「情報提供事業者」という。)がその事業に併せて行うことが考えられ、こうした場合については、情報提供事業に係る応募者の確保を図る等の観点から、当該地域における求人職種に係る一般的な労働条件の水準を提示する等、求人者との間で相談・調整等を行うことが想定されるが、職業安定法第4条第1項その他職業紹介に関する従来の考え方、平成12年7月27日付け職発第512号「インターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業安定法第4条第1項に規定する「職業紹介」との区分に関する基準について」等に照らし「職業紹介」に該当すると判断されない限り、許可等を要するものではない。
上記から一般的な求人誌や求人情報サイトなど「情報提供事業」を行う場合は、有料職業紹介事業に該当せず、さらに、その情報提供事業と併せて行う求人・求職の申し込みを斡旋する業務についても許可は不要としています。
では、上記、通達の中の「インターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業安定法第4条第1項に規定する「職業紹介」との区分に関する基準について」 を見てみます。以下はこの基準のポイントのみを抜粋したものです
この基準において、「インターネットによる求人情報・求職者情報提供」とは、情報提供事業者がホームページ上で求人情報又は求職者情報(いずれも事業所名、所在地、氏名、住所等個別の求人者又は求職者を特定できる情報を含むものをいい、以下単に「情報」という。)を求職者又は求人者の閲覧に供することをいう。
民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準
なお、これと併せて、応募又は勧誘のための電子メールの作成及び送信のための便宜を提供する等求職者又は求人者のための付加的なサービスを提供することを含む。
インターネットによる求人情報・求職者情報提供は、次の1から3までのいずれかに該当する場合には、職業紹介に該当する。
1.提供される情報の内容又は提供相手について、あらかじめ明示的に設定された客観的な検索条件に基づくことなく情報提供事業者の判断により選別・加工を行うこと。
2.情報提供事業者から求職者に対する求人情報に係る連絡又は求人者に対する求職者情報に係る連絡を行うこと。
3.求職者と求人者との間の意思疎通を情報提供事業者のホームページを介して中継する場合に、当該意思疎通のための通信の内容に加工を行うこと。
上記のほか、情報提供事業者による宣伝広告の内容、情報提供事業者と求職者又は求人者との間の契約内容等から判断して、情報提供事業者が求職者又は求人者に求人又は求職者をあっせんするものであり、インターネットによる求人情報・求職者情報提供はその一部として行われているものである場合には、全体として職業紹介に該当する。
例えば、求人情報サイト等で求職者がそこに掲載されている会社に応募する際、そのサイトの連絡フォームに入力して、連絡を取る場合は多いと思いますが、その内容を加工せずに求人会社に連絡するのみの場合は職業紹介には該当しません。
ただ、その求人情報サイトの事業者が、直接かつ積極的にその求職者に連絡をとり、応募を勧めたり、面接日時を調整したりすると職業紹介事業に該当する可能性がでてくるので注意が必要です。
ちなみに大手求人情報サイトを運営している企業は、ほとんどが有料職業紹介事業の許可を取得しています。
「デューダ」や「an」を運営する「パーソル」、リクナビNEXT等を運営する「リクルートキャリア」、「バイトル」等の運営をする「dip」などはいずれも許可を取得しています。ただ、タウンワークのリクルートジョブズやフロムエーのフロムエージャパンに関しては、ホームページ上に許可番号の公開はありませんでした。
よって、どの程度、求人者と求職者との間に介入するサイトなのかかがポイントとなります。