有料職業紹介事業において、紹介できない業種があります。逆に言うと、それら以外は、基本的にすべての職種で照会が可能ということうになります。

職業紹介が禁止されている職業は
①港湾運送業務
②建設業務
③その他有料の職業紹介事業においてその職業のあっせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業

となっています。③については、現時点では、「厚生労働省令で定める職業」というものが明確に規定されていないため、実質③は現状では考えなくてもいいことになります。そうなると、港湾運送業務と建設業務以外は、どんな職業でもOKなのかと思ってしまいますが、実はそういうわけでもありません。
罰則規定である職業安定法第63条において以下ように規定されています。

職業安定法第63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
1.暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
2.公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

この条文により上記「2.」に規定してある「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」いわゆる「有害業務」への職業紹介はできないことになります。この点についてはまた別のページで詳しく解説したいと思います。

禁止業務の中で、建設業務に関するご相談が多いので、少し詳しく解説したいと思います。

禁止される建設業務

禁止される建設業務というのは、いわゆる現場作業です。土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体の作業及びこれらの準備作業です。これらを直接行う現場作業員については、有料職業紹介事業においては紹介することができません。
ただ、大規模な建設現場等の現場事務所内で行われる事務作業等の事務員については、紹介は可能です。また、一応、現場にはでるが、現場作業はせずに、工事の施工計画を作成し、それに基づく工事等の工程管理、品質管理、安全管理等を行う、いわゆる「施工管理業務」については、紹介が可能です。
林業については、地ごしらえ、植栽の業務については建設業務に該当するため、紹介はできません。しかし、下刈り、つる切り、徐伐、枝打、間伐は、建設業務に該当せず、職業紹介が可能です。しかし、地ごしらえや植栽とこれらの仕事を一連の作業として行う場合は職業紹介できなくなるので注意してください。

ちなみに、建設現場作業については、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」の規定に基づいて厚生労働大臣の許可を受けた認定団体は、建設現場作業員の有料職業紹介が可能です。ただ、基本的には、これらの許可は、「〇〇〇建設業協会」等の事業主を構成員とする一定の事業主団体に限られますので一般の会社は取得できません。