今回は、実際にご相談があった内容から興味深いものを紹介したいと思います。

風俗営業を行っている場合は、その会社は許可取得できない

前提として、風俗営業を実際に行っている場合は、有料職業紹介の許可を取得できません。根拠条文は職業安定法第31条第1項第3号ですが、条文には「申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること」としか書かれていませんので詳細は手引きを参照することになります。

手引きには、代表者及び役員が、風俗営業等の規制及び適正化等に関する法律第2条第1項に規定する風俗営業、同条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、同条第11項に規定する接客業務受託営業その他職業紹介事業との関係において不適当な営業の名義人または実質的な営業を行う者でないこととしています。
風俗営業をもう少し具体的に書くと
〇風俗営業関係
1.料飲関係営業(キャバレー等営業等、料理店営業等、ナイトクラブ営業等、低照度飲食店営業、区画席飲食店営業)
※料理店とありますが、あくまで風営法で規制されるものであり、一般のごく普通の飲食店は含まれません
2.麻雀屋営業・パチンコ屋営業
3.ゲーム機設置営業
4.ダンスホール
性風俗関係は全般的にダメだと思ってください。

上記から、パチンコ屋やキャバクラ等もダメだということが分かります。実際にご相談に来られた方の中で、この2つのどちらかを営業されている方が多かったです。
ちなみに、「代表者及び役員が・・・」とありますので、その会社では行っていなくても、例えば社長が別会社で実質オーナーとしてキャバクラ等を営業していてもダメになります。

風俗営業を行う会社の完全子会社は許可取得可能か?

では、本題に入りたいと思います。
上記で説明したように、風俗営業を実際に行っている会社は、有料職業紹介の許可を取得できませんので、新たにその風俗営業を行う会社が100%出資をして子会社を設立した場合(いわゆる完全子会社)、その子会社では有料職業の許可を取得できるのか?というご相談でした。

念のため愛知労働局にも確認しましたが、結論としては「可能」です。別会社であれば、完全に別の法人として考えますので、例え資本金を100%出資されていても法律上は問題ないことになります。
ただ、通常は、親会社の役員の一部が、子会社の役員も兼ねるというのが一般的だと思いますが、許可を取得するためには、親会社の役員は一人も子会社の役員になれないことになります。
この点を注意すれば可能ということになります。
もう一つ注意点として、許可を取得した子会社が実質的に紹介業を運営するのであれば構いませんが、親会社へ名義貸しを疑われるような行為があった場合は取消の対象になりうることには注意が必要です。