有料職業紹介事業の許可は、どういった場合に取り消されるのでしょうか?
有料職業紹介事業の許可はについては、「職業安定法」のなかで規定されており、許可の取り消しについても当然、規定されています。
具体的には、職業安定法の第32条の9に「許可の取り消し等」の条文があり、こちらに規定されています。
内容は以下のようになっています。
第32条の9
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000141
厚生労働大臣は、有料職業紹介事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第三十条第一項の許可を取り消すことができる。
一 第三十二条各号(第五号から第八号までを除く。)のいずれかに該当しているとき。
二 この法律若しくは労働者派遣法(第三章第四節の規定を除く。)の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
三 第三十二条の五第一項の規定により付された許可の条件に違反したとき。
② 厚生労働大臣は、有料職業紹介事業者が前項第二号又は第三号に該当するときは、期間を定めて当該有料の職業紹介事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
正直、上記をみてもよく分からないと思いますし、上記を詳しく読み解いてもあまり意味がないと思います。
それよりも、過去に、実際にどういったケースで許可が取り消されているかを見たほうが実践的です。
では、これを書いているのが(R.6.21)ですが、直近の取り返し事案を見てみたいと思います。
直近の取り消し事案は令和4年3月8日で東京の会社で発生しています。
報道発表資料から内容は以下の通り(会社名等はあえて出していません)。
「〇〇会社は、令和2年12月25日、東京簡易裁判所において、従業員2名と共に、出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、令和3年1月9日にその刑の執行が終了したことから、労働者派遣法第6条第1号及び職業安定法第32条第1号に規定する欠格事由に該当し、許可の取消が相当であると判断されたため。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24260.html
上記は、簡単に説明すると、直接的な職業安定法違反ではなく、出入国管理及び難民認定法(入管法)に違反して罰金が科せられたので、このことが、有料職業紹介事業の許可における欠格事由に該当したため、連動して、許可が取り返しとなったものです。では、上記入管法の第73条の2第1項の罪とは何でしょうか?
これは、事業活動に際し「外国人に不法就労させた」者です。特に説明はいらないと思いますが、在留期限を超えている外国人を働かせたり、正規の在留資格を持たない外国人を働かせたりしたということです。
実は、過去数年分の許可取り消し事案を見てみましたが、すべてが入管法違反で有料職業紹介事業の欠格事由に該当し、取消になったものばかりでした。
つまり、実際の取り消し事案においては、直接的な職業安定法違反による取消はほとんどなく、その周辺関係法令に違反したことによる取消が圧倒的に多いことが分かります。
だからといって職業安定法を軽んじて良いという意味ではなく、関係する法令の細かな点まで気を付けていないと、取り消し事案に該当してしまうということです。
上記は、入管法違反による取消でしたが、許可の欠格事由には、例えば健康保険法違反や雇用保険法違反でも該当する場合があるので、本当に細かい点まで注意を払っておく必要があります。