有料職業紹介事業の許可申請では、職業紹介責任者を適切に選任することが必要です。「誰がなれるのか」「講習はいつまでに受けるのか」「代表取締役や出向者でもよいのか」など、申請前によく確認したいポイントを、2026年10月時点の基準に沿って解説します。
最初に確認したい3つの要件
① 成年に達した後、3年以上の職業経験がある
② 申請受理日前5年以内に職業紹介責任者講習を修了している
③ 欠格事由等に該当せず、適正に業務を行う能力・配置体制がある
1.職業紹介責任者とは
職業紹介責任者は、求人者・求職者への適切な対応や個人情報の管理など、職業紹介事業の適正な運営に重要な役割を担う担当者です。有料職業紹介事業を行う場合、事業所ごとに法令上必要な人数を選任します。単に申請書類へ名前を記入すればよいわけではなく、勤務実態や業務体制も重要です。
2.職業紹介責任者になれる人の主な要件
(1)成年に達した後、3年以上の職業経験
「成年に達した後3年以上の職業経験」が必要です。2022年4月から民法上の成年年齢は18歳ですが、年齢だけではなく成年後の職業経験が3年以上あるかを確認します。複数の勤務先での経験がある場合も、職歴を整理して確認します。
申請では履歴書などによって職業経験を説明します。職歴の数え方や特殊な働き方について判断に迷う場合は、申請前に愛知労働局へ確認することが重要です。
(2)職業紹介責任者講習を5年以内に修了
厚生労働大臣が定める職業紹介責任者講習の修了が必要です。新規許可申請では「申請が受理される日」の前5年以内、更新では「許可の有効期間が満了する日」の前5年以内の修了が基準となります。
講習機関や日程は変更されるため、古い受講料・実施機関一覧ではなく、厚生労働省の「職業紹介責任者講習の実施機関等について」で最新情報を確認してください。指定された実施機関で受講し、修了を証明する書類を準備します。
(3)欠格事由・適格性に関する要件
職業安定法に定める欠格事由等に該当しないことに加え、事業を適正に遂行する能力が求められます。過去の刑罰歴、関係する営業の状況、生活基盤、国外にわたる紹介を行う場合の対応能力など、確認が必要となる項目があります。
刑罰歴などがある場合でも、すべてが同じ扱いになるわけではありません。自己判断で申請可能・不可能と決めず、具体的な事実関係と適用条項を確認することが大切です。
3.事業所ごとに何人の職業紹介責任者が必要か
人数の基準は、会社全体の従業員数ではなく、各事業所で職業紹介に係る業務に従事する人の数で判断します。
| その事業所の職業紹介業務従事者数 | 必要な職業紹介責任者数 |
|---|---|
| 50人以下 | 1人以上 |
| 51~100人 | 2人以上 |
| 101~150人 | 3人以上 |
| 151~200人 | 4人以上 |
原則として、各事業所に専属の職業紹介責任者を、自社の雇用する労働者から選任します。ただし、事業者本人や法人の役員を選任することも認められています。
4.代表取締役や役員が兼ねることはできるか
代表取締役や法人の役員が職業紹介責任者を務めること自体は可能です。ただし、他社役員との兼務、他事業との兼務、勤務場所などによっては、その事業所で責任者として必要な役割を果たせるかを具体的に説明する必要があります。
「役員だから必ず認められる」「他社の役員を兼ねているから必ず認められない」といった一律の判断はできません。関係する業務や勤務実態を整理して確認しましょう。
5.複数事業所の兼任は原則不可。ただし新設時の特例あり
職業紹介責任者は原則として事業所ごとの専属選任ですが、一定条件を満たす新設事業所については、既存事業所の職業紹介責任者による兼任が可能な特例があります。
- 既存事業所の職業紹介責任者が、責任者として通算10年以上の実務経験を有すること
- 既存事業所と新設事業所の職業紹介業務従事者の合計が、責任者1人につき50人以下であること
- 兼任できる期間は、原則として新設した事業年度の翌事業年度末までであること
この特例には法令上の条件があり、通常の複数事業所兼務が無制限に認められるという意味ではありません。複数拠点を予定している場合は、事業所新設の時期と責任者の経歴を先に確認する必要があります。
6.出向者を職業紹介責任者にできるか
原則は、事業者が雇用する労働者または事業者本人・法人役員からの選任です。在籍出向者については、出向契約の内容、雇用関係、常勤性、業務指揮命令・勤務実態などを踏まえた個別確認が必要となります。
以前、愛知労働局に在籍出向者の取扱いを確認した事例もありますが、過去の回答だけで現在の許可可否を断定することはできません。 出向予定者を責任者にする場合は、申請前に契約書類と勤務実態を整理し、最新の取扱いを確認します。
7.申請前に確認したいチェックリスト
- 候補者の成年後3年以上の職業経験を確認した
- 職業紹介責任者講習の受講日・修了証明を確認した
- 候補者の欠格事由等を確認した
- 事業所ごとの業務従事者数と必要選任人数を確認した
- 役員兼務・出向・複数事業所兼任がある場合は、勤務実態や特例の適用可否を検討した
8.よくある質問
Q.会社を設立したばかりでも、代表者を責任者にできますか?
代表者を責任者に選任することは可能です。ただし、会社設立直後であっても、候補者本人の職業経験・講習修了・欠格事由等の要件は満たす必要があります。
Q.講習を受ければ、すぐに責任者になれますか?
講習修了だけでは足りません。成年後の職業経験や欠格事由、事業所での選任・配置なども確認が必要です。
Q.他社の役員と兼任していても大丈夫ですか?
兼務の状況だけで一律に結論は出せません。実際の勤務・管理体制を確認したうえで、申請前に判断することが適切です。
愛知県で職業紹介責任者の選任に迷ったら
職業紹介責任者の要件は、候補者の経歴や講習だけでなく、実際の配置体制と合わせて確認することが重要です。当事務所では愛知県の有料職業紹介事業の許可申請に限定して、要件確認から申請書類の作成・提出、実地調査への対応までご相談を承っています。
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※この記事は2026年10月時点の法令・厚生労働省業務運営要領をもとに整理しています。個別事案の許可可否は、提出資料や所管行政庁の審査によって判断されます。
参考:厚生労働省「令和8年10月1日から適用される職業紹介事業の業務運営要領」、職業安定法施行規則(第24条の6)